「知恵の輪」倶楽部セミナーで講演


東京交通新聞 03.09.15
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株式会社キャブステーション(本社・東京都港区南青山、楠木崇延社長)は7日、若手タクシー経営者の情報交換の場として発足させた「知恵の輪」の第一回セミナーを港区の島根イン青山で開催した。講師として日本交通の川鍋一朗専務が「老舗の復活、日本交通が再建」、東京エムケイの青木政明社長が「都市交通改革」、島田晴雄慶応教授が「歴史の転換期」についてそれぞれ講演した。


冒頭、楠木社長がタクシー・バスの規制緩和について「まだスターが誕生していない。サプライズは与えるが、大きくシステムを変えるまで至っていない。遠距離割引、深夜割増運賃値下げ、迎車料金無料といった競争が進んでいるが(自らの足を切り売る)タコ足商売に過ぎず、安く売って利益を確実に上げる仕組みを作った『安売りキング』はまだタク業界には誕生していない。だがタクシー誕生90年目の規制緩和。やり方によって鯨にもなれる。この2〜3年がターニングポイントでリーダーの力量が問われる」と述べた。

再建成し遂げ次の展開 川鍋氏

川鍋氏は「1000億の企業グループに1900億の借金があった」と、3代目として入社後の老舗大手日交再建の軌跡を説明、「ハイヤーの値下げと募集広告主転換の2つをまず実行した。赤字の5%の顧客をなんとかすれば赤字の半分を解消できることが分かり、5人の若手特攻隊を編成し対応した結果、半年後に赤字がなくなり年間3億円の増収につながった」とし、「東京のハイタクは7000億市場。この大海原で第一交通、エムケイ、あるいは介護のグッドウィルなどが力を発揮しているが、日交は既存事業者としてベストポジションにいるにもかかわらず、わずか5%しか占めていない」現状を分析、再建計画を着実に実行しつつ次の展開を図る方針を示した。

都市交通改革を目標に 青木氏

青木氏は「東京に資本投下して累積赤字がなくなるのに5年かかった」と明かし「当社はマイカーより便利な乗り物を実現し渋滞をなくす都市交通改革を目標にしている」とし、「150台の車両に1000件以上の配車オーダーにこたえるため、お客が携帯電話で直接ドライバーを呼び出せるシステムをNTTドコモやIBMと開発した。今後も新しいシステムで新しい商品作りに取り組みたい」と述べた。また駅構内などの民民規制についても青木氏は「駅から呼んでもらうようになればいいし、専用乗り場も作れる。おかしなものは利用者が見抜く。要は規制に打ち勝つ商品を作ることだ」と強調した。

中高年向け商品開発を 島田氏

島田教授は「タクシー券で乗るサラリーマン相手に商売する時代はもう終わった。タクシー業界はいまだに成長期のままのモデルを使っている。今後の高齢社会は中高年向きの商品がヒットする。顔を知っている運転手の送迎を年金の範囲内でやれないかと出てきたのが共同自家用車運転者産業。国土交通省が予算化しコンシェルジェ実験を行ったが、幼児を持った母親のニーズが一番強いことが分かった」と述べた。

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